新規事業開発、新製品開発、インキュベーションを成功に導く「方法論」
アクト・コンサルティングでは、成功した新規事業開発、新製品開発、インキュベーションの実績から
成功要件を抽出し、これを「方法論」にまとめ、クライアントに提供しています。本方法論には、以下
の成功要件が盛り込まれています。
- 1 領域、目標事業規模に、経営幹部が執着心を持つ
現場が好き勝手にテーマを決めていては、小粒のテーマにリソースが分散してしまいます。
経営幹部は、執着心を持つ領域と目標事業規模を決定し、これを維持する必要があります。
それは即ち、目標事業規模から逆算して、ある市場規模を満たさないテーマや、領域以外
のテーマの検討を許さないことです。これにはエネルギーが必要です。現場のやる気を損
ねる。大化けするかもしれないテーマを止める。といったリスクをテイクした決断が必要にな
ります。
- 2 リソース傾注を決断する
これはと思うテーマにリソースを傾斜配分することの重要性は、当然理解されています。
しかしこれを実現するには、努力や仕組みが必要です。経営幹部が、現場から上ってきた
リソース配分案をそのまま承認することなく、リスクをテイクして、リソース傾注の決断をし
なければなりません。そのために、経営幹部が、常に技術と市場の最先端を肌で感じてい
なければなりません。経営幹部は、常に外に行くことが必要です。その上で、専門家同士
が建設的に叩き合う会議体や、不確実性を見える化するなど、リソース傾注決断のリスク
をコントロールする仕組みが合わせて必要になります。
- 3 早い段階から市場を見る
市場を見ることは、古くて新しい成功要件です。上位者は、昔から研究者に、市場を見ろ
と連呼してきました。しかし市場がグローバルに広がる中、ただ指示するだけでは成果は
期待できません。研究者が社内事業部門や営業部門、そして社外に行って提案し、結果
を研究開発へフィードバックする能力を組織的に高める。研究開発の早い段階から、事業
や技術などの関連部門が参加したチームを組むなど、市場を見る仕組みが必要です。
- 4 早い段階から下流の問題を予見して対応する
設計部門で言われているフロントローディング(下流の問題を上流の早い段階で潰す)は、
新規事業開発、新製品開発、インキュベーションでも重要です。新規事業、新製品開発
のフロントローディングには、上述の早い段階からの下流関係者を含めたチーム確立や、
早い段階から、開発、製造、販売、アフターメンテナンスまで見通した仮説やプランを作
るプロセスが求められます。
- 5 「市場発」の視点を持つ
「技術発」の視点でテーマを決め、その後市場性を見る方法はあっても、「まず技術は置
いて市場を先に見て、どんなビジネスや商品が求められるか考え、技術を考える」という
アプローチは、活発に行われていません。市場初の視点で考えれば、魅力商品をまず
発想し、開発に必要な自社技術があれば使い、無ければ調達し、早期に上市するといっ
たことが可能になります。オープンイノベーションの目的が明確化し、成功確率も高まり
ます。また、ドラスティックなコスト削減研究も、活発に行われるようになります。
- 6 ダイバーシティーを進める
いろいろな文化、風土、国の人材が相互触発すれば、より良いアイデアが生み出される
はずです。しかし、日本のダイバーシティーは、欧米大手企業に比較して遅れています。
前述のチームで、いかにダイバーシティーを高められるかが問われます。また、研究所の
拠点配置に関わるポリシーや、グローバルコラボレーションの仕組み構築も、合わせて考
える必要があります。欧米企業の新興国での研究所設立は、当該地域の市場に食い込む
のみならず、優秀な若手獲得と、ダイバーシティーを高めるために成されています。
- 7 事業部間シナジーを高める
新規事業、新製品開発、インキュベーションの重要なテーマが、既存事業部の間に存在し
ていることがあります。これを見逃さないために、事業部間シナジーを高めるたにも然るべ
きリソースを配分することが必要です。この場合、顧客の課題とグループの全ての知見を
合わせてソリューションを開発したり、既存事業部からの協力を得るための事業部向け支
援の仕組みが重要になります。
- 8 新規事業開発、新製品開発、インキュベーションのモデルを改善し続ける
上述の成功要件は、現在認識できるものであり、将来は違っているかもしれません。例え
ば、「市場初で商品を定め、技術があれば使い、無ければ調達する」などというモデルは、
一昔前には発想されなかったものです。つまり、今後も、自社の研究開発、新規事業開発
のモデルは、改善し続けなければならないことになります。そのためには、まず現在自社
が採用しているモデル(成功要件とこれを実現する仕組み)をグローバルグループの関係
者が分かるように文章で記述し、その上で、必要なモデルの改善を行い、これを文章化し、
方法論、組織、制度、プロセスなどに展開することが必要になります。
アクト・コンサルティングでは、上記成功要件を具現化するため、遂行、マネジメントの2部に
別れた方法論を準備しています。そして、教育、実践支援コンサルティングによって、本方法
論をクライアント組織に定着させ、同時に新規事業開発、新製品開発、インキュベーション
そのものの推進を支援しています。